三菱ケミカルホールディングスTHE KAITEKI COMPANY

CFOメッセージ

中期経営計画APTSIS 20の進捗状況(2017・18年度業績推移)について

2017年度の業績

 2017年度は、機能商品分野を中心に総じて販売が伸長する中、素材分野においてMMA等の石油化学製品をはじめとして概ね市況が好調に推移するなど、全般に良好な事業環境の中、売上収益3兆7,244億円(対前年+3,483億円)、コア営業利益※13,805億円(対前年+730億円)と過去最高益を更新し、ROSは10.2%となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、米国連邦法人税率の引き下げにより主に繰延税金負債の取り崩しによる税金費用の減少も寄与して、2,118億円(対前年+555億円)と大幅に拡大しました。APTSIS 20の重要業績評価指標(KPI)実績としては、ROE17.8%(対前年+2.7%)、ネットD/Eレシオは0.89倍(対前年0.17の改善)、親会社所有者帰属持分比率27.4%(対前年+2.9%)となり、いずれも前年比で改善しました。また、キャッシュ・フローにおいては、減価償却費を494億円上回る2,283億円の設備投資や1,502億円の投融資等を行う一方で、フリー・キャッシュ・フローは実質ベースで713億円を確保し、ネット有利子負債は前年とほぼ変わらない水準に抑え込むことができました。

2018年度の見通し

 期初に発表しました2018年度の見込みは、売上収益3兆9,300億円(対前年+2,056億円)、コア営業利益3,550億円(対前年-255億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,840億円(対前年-278億円)です。素材・機能商品分野における一部製品の原料価格上昇に伴うマージン縮小や、ヘルスケア分野における薬価改定の影響および研究開発費の増加等が見込まれるものの、引き続き拡販やコスト削減に取り組んでまいります。また、運転資金を抑制することで、営業活動によるキャッシュ・フローは2017年度並を確保します。

 2018年度のKPI想定は、ROS9.0%、ROE13.5%、ネットD/Eレシオ0.8倍弱と、いずれも中計目標を超える水準を期初に見込んでおります。

連結業績の推移

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※1

経常的な営業損益を把握するために、構造改革に関わる費用、災害による損失等の非経常的な要因による損益を除いた損益を「コア営業利益」とし、対外説明・経営管理における指標として使用しております。

※2・3

2015年度のIFRSおよび2016年度は、非継続事業に係る数値を控除しております。

APTSIS 20の財務戦略の進捗について

安定強固な財務基盤の実現ステージへ

 2016-2020年度までの中期経営計画APTSIS 20において、2020年度における主要な目標を「ROE12%、コア営業利益3,800億円、親会社の所有者に帰属する当期利益1,800億円」と定めました。2020年度までの期間中においても、ROEは継続的に10%以上とすることを目標にしています。我々は、成長・収益性の高い機能商品、ヘルスケア分野に投資し成長させることに加え、化学系3事業会社の統合による事業シナジー発現、働き方改革を通じた業務効率化により、収益性を上げてコア営業利益4,300億円も視野に入れ、当中計目標を達成していきます。事業で得られたキャッシュは、将来への持続的成長の投資、財務基盤改善、適切かつ安定的な株主還元にバランスよく使っていきたいと考えております。

 APTSIS 20においては、当初計画に比べて、業績の向上および資産の効率化等の財務構造改革に伴いキャッシュ創出力が2,000億円超拡大する見込みです。キャッシュ創出力の拡大に伴い、設備投資やM&Aの成長投資において、機能商品を中心に当初計画比で2,000億円の投融資を追加し、5カ年で約1兆7,000億円を使用することとしました。加えて、研究開発費用においては、機能商品とヘルスケアを中心に、今後3年間で250億円ほど当初計画より増額して、成長を加速させることとしました。一方で財務体質改善への具体的な目標である、親会社所有者帰属持分比率30%、ネットD/Eレシオ0.8 倍の当初計画目標は堅持してきました。しかしながら、2018年7月に発表した欧州産業ガス事業の取得(株式譲渡実行日は2018年11月を予定)は、当初計画の枠を超える投資案件となりました。これによる一時的な財務指標の悪化は見込まれますが、引き続き我々は企業価値の拡大のために、さらなる成長・収益の改善とともに財務基盤の安定強化に努め、できるだけ早期の目標達成をめざして取り組んでいきます。

連結財務指標の推移

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2020年度末目標

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ポートフォリオ管理の強化

 当中計においては、MCHCと事業会社の関係について「事業の管理」と「事業の執行」の役割を明確にし、経営のスピードを上げるために、事業会社に大幅に権限を委譲しました。MCHCは、事業戦略、中長期計画の策定・管理およびこれらに基づく資源配分を決定しております。より適切な資源配分の実施のために、各事業および関係会社を、それぞれの事業分野に見合った管理指標(売上収益成長率、ROS、ROIC)を参考にしながら、分野別の基準指標で4象限(次世代事業、成長事業、基盤事業、再構築事業)に再配置し、ポートフォリオ管理を強化しています。赤字事業だけでなく、ROICが加重平均資本コスト(WACC)を下回るような低収益事業は明確に見直しの対象となります。計数的な面だけでなく、当社技術の優位性やビジネスモデル自体の検証も踏まえて、見直しを不断に行っており、他社とのアライアンスから撤退までも視野に入れて検討を行っている再構築事業の売上収益合計は現時点で約3,000億円となっています。

 中計アクションプランや投資計画の進捗、管理指標の数値点検・評価は年2回実施し、目標に対して未達であれば、構造改革の検討要否等の実質的な議論を経てポートフォリオ・資源配分の見直しを実施しております。

 これらの取り組みの結果、2017年度の分野別ROICは、機能商品分野で8.5%、素材分野で9.7%、ヘルスケア分野で9.8%となり、設定した資本効率性指標(機能商品分野8%、素材分野5%、ヘルスケア分野8%)を全分野で超える実績となりました。

ポートフォリオマネジメント強化

各事業・関係会社を分野別の基準指標でポジショニング
定期的なモニタリングを実施し、資源配分とポートフォリオ最適化を加速

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国内だけでなく海外含めた資金を効率化

 キャッシュ・マネジメントシステム(CMS)を欧州で始動させ、日本・米国を含めた3極体制が確立しました。2017年度までの2年間で全社としては126億円の効率化に寄与しました。また、2018年度に入ってアジアで米ドルのCMSをすでに起動させております。2020年度までにアジアの複数の管理通貨を一元管理できる体制を構築し、アジアを含めた4極でのグローバル一元管理による効率化と、CMSを通じ海外子会社含めたガバナンスの一層の強化をめざしています。

 この他、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の短縮化にも取り組んでおり、中計最終年度に向けて2016年度比で10%の改善(約99日から約89日へ)を目標としています。2017年度は、定期修理や原料製品価格のアップの影響を除いて、前年比で1.5%改善させることができました。さらに、定期的な保有意義の検証を通じて、保有意義の低下した資産の売却も進め、一層の資金の効率化を図っています。

株主還元方針について

 我々は企業価値の向上を通じて、株主価値の向上をめざしています。株主還元につきましては、成長事業への投資、財務体質の強化と適切なバランスを維持しつつ、中期的な利益水準の30%を連結配当性向の目安にしています。加えて安定的な配当も考慮に入れて配当を実施します。2017年度の配当につきましては、1株につき中間配当15円、期末配当17円、通期32円(対前年+12円)となりました。2018年度は、対前年で減益を予想しているものの、配当は、1株につき中間配当、期末配当ともに17円、通期34円(対前年+2円)を予定しています。

 また、2018年5月10日発表の通り、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため、6月1日までに総額200億円の自己株式の取得を実施しました。当社は配当を株主還元の基本にしていますが、2016年度2017年度ともに一時的な税金費用の減少があり、その株主還元を図ったものです。

株主還元

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執行役常務 最高財務責任者
Chief Financial Officer
伊達 英文
2018年9月(「KAITEKI レポート2018」掲載)