三菱ケミカルホールディングスTHE KAITEKI COMPANY

CFOメッセージ

三菱ケミカルホールディングスグループは、人・社会・地球の課題解決を通じて世界の持続可能性向上に貢献することで自らも持続的に成長する真にグローバルな「THE KAITEKI COMPANY」をめざします。

Q1. 中期経営計画APTSIS 20の財務戦略の狙いと柱を教えてください

A1. 安定的で強固な財務基盤の確立へ

*我々は、中長期にわたり、持続的(Sustainable)に企業価値を拡大させて、株主をはじめステークホルダーの皆さまの負託にこたえていきたいと考えています。前中期経営計画APTSIS 15(2011–2015年度)では、M&A等による規模拡大と収益変動の大きい事業の構造改革とで、持続的成長への基盤整備は実現しました。2016–2020年度までのAPTSIS 20では、機能商品・ヘルスケア分野を中心に成長と収益性にこだわり、企業価値をさらに高めるステージに移っています。主要な目標は、「ROE10%以上、コア営業利益3,800億円、当期利益1,800億円」です。今中計終了年である2020年度以降においても、安定的で強固な財務基盤体質を基礎に企業価値の拡大をめざします。
APTSIS 20では、MCHCの役割を明確にしました。すなわちMCHCは事業戦略、中長期計画の策定・管理およびこれらに基づく資源配分を決定していきます。ポートフォリオ管理においては、成長性・売上収益コア営業利益率(ROS)に加え、各事業分野にROIC指標を入れることで、ポートフォリオ強化とともに適切な資源配分を通じて収益性(MOE※1)の向上を図ります。
我々は、成長・収益性の高い機能商品、ヘルスケア分野に投資し成長させることに加え、3社統合による事業シナジー発現、働き方改革を通じた業務効率化により、収益性を上げてAPTSIS 20の目標を達成していきます。事業で得られたキャッシュは、将来への持続的成長の投資、財務基盤改善、適切かつ安定的な株主還元にバランスよく使っていきたいと考えております。APTSIS 20における投資戦略については、設備投資(維持更新投資5,000億円含む)やM&Aの成長投資で約1兆7,000億円を使用する計画です。
財務体質への具体的な財務目標は、図の通りです。

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KAITEKI経営の3軸の一つでManagement of Economicsの略語。資本の効率化を重視する経営で業績に代表される経済価値向上の基軸。

Q2. APTSIS 20の進捗状況についてお聞かせください

A2. KPIが着実に改善へ

2016年度実績

2016年度よりIFRSを適用するにあたって導入しました「コア営業利益※2」は、3,075億円と過去最高益を更新し、ROSは9.1%となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は1,563億円(対前年+1,049億円の改善)と大幅に拡大しました。重要業績評価指標(KPI)実績としては、ROE15.1%(対前年+9.9%の改善)、ネットD/Eレシオ1.06倍(対前年△0.11の改善)、親会社所有者帰属持分比率(=日本基準の自己資本比率)24.5%(対前年+1.5%の改善)となり、いずれも前年比で改善しました。
なお、2016年度のROEは15.1%と大幅に改善しましたが、一時的な税金費用の減少等の特殊要因もあり、安定的な収益力の拡大に向けた施策は引き続き積極的に取り組んでまいります。
また、キャッシュフローにおいては2,065億円の投資を行う一方で、フリーキャッシュフローは実質ベースで1,037億円を確保し、財務体質の改善にもつなげていきます。

2017年度の見通し

期初に発表しました2017年度の見込みは、コア営業利益3,100億円(対前年+25億円増益)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,370億円(対前年△193億円)です。
機能商品セグメントにおきましては、能力を増強する光学用PVOHフィルム、PETフィルム、炭素繊維、アルミナ繊維等の増収が見込まれる一方、一部製品の原料価格上昇に伴う売買差の縮小や共通管理費負担増が想定されるものの、ケミカルズセグメントにおいては、MMA事業の中東新プラントの年央からの稼働が寄与することや、前期に発生した国内石化プラントのトラブル解消等により、堅調に推移することが見込まれます。
2017年度のKPI想定は、ROS 8.5%(前年比△0.6%)と中計目標の8%を引き続き超える水準を維持し、ROEは12%、ネットD/Eレシオは1.0倍となる見込みです。

連結業績の推移

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連結財務指標の推移

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経常的な営業損益を把握するために、構造改革に関わる費用、災害による損失等の非経常的な要因による損益を除いた損益を「コア営業利益」とし、対外説明・経営管理における指標として使用する。

3,4

2016/3のIFRSおよび2017/3は、非継続事業に係る数値を控除しております。

Q3. 「ポートフォリオ強化」について、具体的に教えてください

A3. 「リスクコントロール」に加え「リターンコントロール」強化へ

マネジメント体制の強化

2017年4月の化学系3社統合・三菱ケミカル発足を機として、MCHCの取締役会および執行役会議の経営体制を変更し、MCHCと各事業会社の役割を明確化しました。また、MCHCに4つのセグメントごとに4つの戦略室(機能商品戦略室、素材戦略室、産業ガス戦略室、ヘルスケア戦略室)およびIoT・AI、次世代事業開発、先端技術など事業化する先端技術・事業開発室を設置しました。これにより、MCHCは、各事業領域における中期戦略の立案や、APTSIS 20モニタリングの一層の充実、適切な資源配分等を通じてポートフォリオ経営を強化します。一方、各事業会社は、基本戦略に従い事業の執行に専念する経営体制に強化しました。
機能商品セグメントは、シナジーを含み成長と高収益を追求し、ケミカルズセグメントは、安定と高機能化による利益向上をめざします。産業ガスセグメントは、安定した成長に加えて機能分野への展開を図り、ヘルスケアセグメントは米国展開等を含めた成長を加速します。

ポートフォリオ管理の強化

前述した通り、MCHCと事業会社の関係を「事業の管理」と「事業の執行」の役割を明確にし、経営スピードを上げるために、事業会社に大幅に権限を委譲しました。 管理するSBUを約60から約30へ削減。それぞれのSBUを4象限(次世代事業、成長事業、基盤事業、再構築事業)に再配置しました。それぞれの事業分野に見合った管理指標(売上高成長率、ROS、ROIC)を導入し、きめ細かな事業管理が可能となり、より適切な資源配分を実施していきます。
ROIC管理につきましては、分野別に目標値を設定し、利益率改善のKPIとして管理していきます。さらに、成長事業には売上を、基盤事業にはフリーキャッシュフローをKPIに入れます。従来は赤字事業を問題視する傾向にありましたが、今後はROICが加重平均資本コスト(WACC)を下回るような低収益事業は明確に見直しの対象になります。
また、中計アクションプランや投資計画の進捗、管理指標を数値点検・評価を年2回実施します。目標に対して未達であれば、構造改革の検討要否等の実質的な議論を経てポートフォリオ・資源配分の見直しを実施します。
こういったマネジメント体制やポートフォリオ強化により、従来のリスクコントロール体制に加え、リターンコントロールの強化に努めています。

中計達成に向けた経営の道筋:
ポートフォリオ・マネジメント

各事業・関係会社を分野別の基準指標でポジショニング
定期的なモニタリングを実施し、資源配分とポートフォリオ最適化を加速

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Q4. 資金効率化への取り組みについて具体的に教えてください

A4. 資金活用の高度化へ

APTSIS 20では、資金効率化として、運転資金の圧縮、政策保有株式の削減などの資産売却等で3,000億-5,000億円の資金の捻出を計画しています。資金効率化で得られた資金は、成長投資、財務基盤改善、株主還元にバランスよく使っていきたいと考えています。
資金効率の具体的な取り組みの一つとしては、キャッシュ・マネジメントシステム(CMS)のグローバル展開があります。これまでの日本国内に加え、米国・欧州・アジアへ展開し、資金活用の高度化を図っていきます。また、それぞれの地域でキャッシュをプールして一元化し、キャッシュを通じた子会社のガバナンスを利かすのも主目的の一つです。欧州は2016年度より、米国は2017年度より導入し、管理通貨が複数にまたがるアジアにおいては、2020年度を目途に一元管理する予定です。
最終的にはこれらの4つの地域をさらにグローバルで一元管理するように取り組むことでさらなる効率化をめざしてまいります。

代表執行役副社長 最高財務責任者
小酒井 健吉
2017年9月