三菱ケミカルホールディングスTHE KAITEKI COMPANY

社長メッセージ

三菱ケミカルホールディングスグループは、人・社会・地球の課題解決を通じて世界の持続可能性向上に貢献することで自らも持続的に成長する真にグローバルな「THE KAITEKI COMPANY」をめざします。

中期経営計画 APTSIS 20の進捗

2016年度業績について
機能商品の伸長もあり業績は順調に推移。構造改革の一巡により、高収益体質へのスタートラインに

2017年3月期のMCHCグループの業績は、全般的に円高の影響があったものの、機能商品分野においては、ディスプレイ向けの高機能フィルム、電池材料の販売が堅調であったことにより増益となり、素材分野においても、定修規模の拡大があったものの、MMAの市況が順調に推移したこともあり、増益となりました。ヘルスケア分野においては、医薬品事業の販売数量は伸長したものの、薬価改定の影響等、前期に計上した一時金の収入減等により、減益となりました。
上記に加えて、テレフタル酸(インド・中国)事業譲渡・撤退などの不採算事業見直し、日本合成化学工業株式会社、日本化成株式会社の完全子会社を実施するなどグループ内のインテグレーションの促進、米国における産業ガス事業の買収など構造改革・収益性強化などの施策を行った結果、コア営業利益は過去最高の3,075億円(前年度比2.4%増)を達成することができました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益についても、前期に計上したテレフタル酸事業に関連した減損損失がなくなったこと、また同事業の譲渡に関連した繰延税金資産の計上に伴う税金費用の減少などもあり、1,563億円(前年度比204.3%増)となり、自己資本利益率(ROE)は約15%となりました。
2016年度はテレフタル酸(インド・中国)の事業撤退により、前中期経営計画から行ってきた不採算事業の構造改革が一区切りとなり、今後は高成長・高収益をめざすことのできる企業体質に変革することができたと考えています。また、MCHCでは、持続可能な成長のために従前よりサステナビリティ向上(MOS:Management of Sustainability)の観点から、企業活動を通じてのCO2の削減や省資源・省エネルギー等を指標化して、その進捗を定量評価するという取り組みを行っており、2016年度もその活動を進化させています。例えば、MOS指標項目の選定については、APTSIS 20との連携を高め、マテリアリティアセスメントを反映させています。

2017年度の業績予想
増益を予想。構造改革により、市況変動を受けにくい体質に。高機能フィルムを中心とした機能商品が
堅調に推移。収益性の高いMMAプラントがサウジアラビアで年央に稼働。

2017年度の当社を取り巻く事業環境は、日本・世界経済とも緩やかな回復傾向が続く一方、保護主義の台頭や地政学的リスクが懸念されます。
為替、原油価格はこういったリスクが実現されなければ比較的安定的に推移すると考えており、今まで実施してきた構造改革により市況変動の影響も従前に比して小さな影響にとどめることができると考えています。こういった環境の中で、機能商品分野は自動車関連、薄型パネルディスプレイ、食品包装材、電池材料などの需要が堅調に推移し、前期以上の利益を確保することができると考えています。ヘルスケア分野は、R&D費等の増加により若干の減益を予想していますが、素材分野は、競争力の強いサウジアラビアのMMAプラントが年央に立ち上がることによる収益貢献等もあり増益を見込んでいます。その結果、コア営業利益は3,100億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,370億円を見込んでいます。

2016年度の報告の今後の予想

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中期経営計画の今後の施策 ‟成長と弛まぬ変革”

不採算事業の撤退および機能商品の伸長により業績は堅調に推移していますが、日本経済、世界経済が今後大きな伸びが望めない中、自力で成長し、高収益を生み出す体質を確固たるものとするために、当社グループは中期経営計画に従い、本年度も以下の施策を実行していきます。

経営体制の進化とポートフォリオマネジメントの徹底

2017年度からは社長の諮問機関であった経営会議を、執行役による意思決定機関としての執行役会議に変更し、より果断かつスピーディな執行につなげていきます。またMCHCと事業会社の役割分担を明確化して、MCHCは中長期戦略の基本戦略を策定し、各事業会社はこの基本戦略に基づく短中期の事業戦略の具体化と実行を担うことになりました。また、ROE、ROIC等の管理目標を分野別に設定するなど、事業ポートフォリオ改革の強化も図っていきます。

三菱ケミカル誕生 ‟自力で成長するための体制づくり”

2017年4月に当社傘下の化学系3社、三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンが統合し、三菱ケミカル株式会社としてスタートしました。世界経済が大きな成長が望めない中、私たちは自力で成長戦略を推進させていく必要があります。欧米を中心に、お客さまの製品に対するニーズがより高度になってきている中、3社が統合したことにより、技術基盤、販売チャネル、人材資源を融合することが可能となり、よりスピード感をもって、優れた素材・材料を用いたソリューションを市場に提供できると確信しています。
旧3社のSBU(ストラテジックビジネスユニット)は合計60近くありましたが、それを半分以下に集約し、10の事業部門に編成しました。その上で、今後成長が見込めるマーケットを5つ設定し、マーケットが重なるSBUはなるべく同じ事業部門にまとめ、一体となって戦える体制を整えました。(下図参照)
マーケット単位の部門編成により、「お客さまの最終製品がどういった方向性に進化し、それに伴って、素材・材料に対するニーズがどう変わっていくか。」といった視点から業界を俯瞰できるようになり、研究開発の戦略も立てやすくなり、マーケットの技術進歩への対応力も高くなります。こういった取り組みにより2020年度までの統合効果の目標500億円をできるだけ早い段階で達成したいと考えています。
特に機能商品は、技術力で勝負できる、例えば、加工度が高く、優れた機能性を有する素材・材料を徹底的に強化していきます。炭素繊維・複合材料や機能性樹脂などの自動車軽量化部材をはじめ、電子・ディスプレイ材料、高機能フィルム、電池材料、水処理システム、人工関節を中心とする医療関連部材などが戦略重点分野になります。すでに機能商品分野は三菱ケミカル全体の営業利益の5割近くを稼ぎ出していますが、今後はこの分野をもっと太い柱としていきたいと思います。

新生三菱ケミカルは、5つの市場に重点的にマーケティングを施し、
10の事業部門が協奏しながら成長を加速します。経営資源(人、技術、情報等)を最大限に活用し、
経営効率を上げ、生産性向上の競争力強化で、2020年度までに統合効果で計500億円を創出します。

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事業会社の戦略の加速

田辺三菱製薬の米国事業基盤確立、生命科学インスティテュートの健康・医療ICTの事業構築と再生医療(Muse細胞)の研究開発加速、大陽日酸は、米国、アジアの産業ガス事業拡大と新規製品群の拡大をめざします。特に医療用医薬品分野は、国内の事業環境の厳しさと市場の変化の速さを踏まえると、海外での展開はまさに喫緊の課題と捉えています。
2017年5月には、田辺三菱製薬が米国で筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療剤「ラジカヴァ」の承認を取得しました。これらの販売を基礎に、米国市場の自社展開を進めていきます。また、2017年7月にパーキンソン病の治療薬に関し、優れた開発力を有するNeuroDerm Ltd.を完全子会社とするための買収手続開始について同社と合意しました。

IoT・AI・ビッグデータ活用への挑戦

2017年4月、IoT・AI・ビッグデータを活用し、自社の技術と融合させながら新規事業創出などを担う「先端技術・事業開発室」を新設しました。データサイエンスを切り口に自由な発想で新たなビジネスモデルをつくることを目的としています。
工場のシステム制御など現在のビジネスの延長上だけではなく、違ったマーケットも狙って、事業会社に提案していくことから、従来の発想をもった社内の人材では、既存の発想を超えることはできないので、外部からスペシャリストを登用し、今後世界が大きく変革する中で、新たな新規ビジネス創出に備えます。

健康経営の取り組み

個人を活性化させることは、事業戦略と同じぐらい重要だと考えています。すべての仕事を見直し、真に必要な仕事に集中できる体制を構築することにより、メリハリのある仕事ぶりで充実感、満足感を上げることにより、従業員の一人ひとりの心身の健康度を上げていくことを目標としています。個人と組織の健康度を高めることは、仕事の効率性と生産性、創造性を高めることと表裏一体です。経営、各職場の長、従業員三位一体となって、3年を目途に結果を出したいと思っています。

保安・安全、コンプライアンス

どのような企業経営を行おうとも、保安・安全とコンプライアンス徹底はグループの企業活動すべての基盤であることに変わりはありません。いくら保安・安全とコンプライアンスのための設備やシステムがそろっていても、それを有効に活用できる人材や時間がなくては効果がありません。経営も含め従業員一人ひとりが、問題点を抽出し、対応策を立案し、実行できる体制構築が必要です。本年度は原点に返って、すべての職場で本来あるべき行動、あるべき業務が徹底できているか、総点検を行う予定です。

株主還元の考え方

株主還元につきましては、成長事業への投資、財務体質の強化との適切なバランスを維持することにより、中期的な水準として30%の配当性向を目安にしています。加えて、安定的な配当も考慮に入れて実施いたします。なお、この方針は、昨年度から指定国際会計基準(IFRS)導入後も変わりません。前期の配当につきましては、1株につき通期で20円、とさせていただきました。次期配当につきましては1株につき中間配当12円、期末配当12円、通期24円を予定しています。

代表執行役社長 越智 仁

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