三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は、2018年10月にTCFD*(気候関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言への支持を表明しました。温室効果ガス(GHG)排出削減や省エネルギー活動の推進、GHG排出削減に貢献する製品群の拡充など、気候変動関連の施策を充実化するとともに、情報開示を段階的に拡充し、企業価値向上に努めています。
* TCFDは、気候変動に関連するリスクと事業機会が企業財務にもたらす影響について、企業による投資家への自主的な開示を促すことを目的として、2017年6月に情報開示のあり方に関する最終提言を公表
ガバナンス
MCHCでは、APTSIS 20のマテリアリティ・アセスメントの中で、気候変動への対応を重要度が極めて高い経営課題と位置付け、取り組みを進めています。そして、マテリアリティ・アセスメントによる経営課題には、対応策の進捗を測る経営指標(「指標と目標」参照)を対応付けています。MCHCは、事業会社毎に設定した目標値に対する進捗を、MCHC執行役社長が諮問するKAITEKI推進会議を中心としたKAITEKI推進体制のもと、モニタリングを行っています。
体制 | 役割 | 2019年度の活動 | TCFD推奨される開示内容 | |
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取締役会 |
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ガバナンス a)気候関連のリスクおよび機会についての、取締役会による監視体制 b)気候関連のリスクおよび機会を評価・管理する上での経営の役割 |
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社外取締役連絡会 |
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KAITEKI推進会議 [構成]
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事業会社 |
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* Chief Sustainability Officer
戦略・リスク管理
認識する社会課題による事業機会とリスク
2019年度の報告 | TCFD推奨される開示内容 |
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現中期経営計画 APTSIS 20においては、マテリアリティ・アセスメントを通じて「気候変動への対応」を重要課題に特定の上、認識している機会とリスクおよび取り組みを報告してきました。 それに加え、今般、2030年に向けた中長期経営基本戦略「KAITEKI Vision 30」の策定に際して、MCHCグループが2030年にかけて直面する社会課題に関連する事業機会とリスクを特定しました。事業機会は、以下の気候変動関連を含め、社会課題の解決に貢献するソリューションをMCHCグループの成長事業群として特定し、次期中期経営計画の実行を通じて規模拡大、収益力の強化を図っていきます。
リスクについては、社会課題の解決に取り組まなかった場合のリスクを定量評価しています。気候変動関連で特にインパクトが大きいリスクとして、炭素税負担の増加や、製品の需要減少による収益力の低下を認識しています。 また、大規模自然災害に備え、被害の最小化と事業継続性の確保を推進するとともに、防災・減災に貢献するソリューションの提供を通じて安全・安心な社会の実現をめざしています。 |
戦略 a)短期・中期・長期の気候関連リスクや機会 |
統合報告書「KAITEKIレポート2020」に掲載の関連情報
想定する社会課題による事業規模とリスクのインパクト
2019年度の報告 | TCFD推奨される開示内容 |
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戦略 b)気候関連リスクや機会がビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響 |
統合報告書に掲載の関連情報
リスク管理
2019年度の報告 | TCFD推奨される開示内容 |
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リスク管理 a)気候関連リスクを識別・評価するプロセスを説明 b)気候関連リスクを管理するプロセスを説明 c)a)b)がどのように総合的リスク管理に統合されているかを説明 |
統合報告書「KAITEKIレポート2020」に掲載の関連情報
- コーポレートガバナンス:リスク管理
・リスク管理体制
・重大リスクへの取り組み
・今後拡がるリスクへの対応
今後に向けて
2019年度の報告 | TCFD推奨される開示内容 |
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リスク管理態勢によるリスクの最小化に努めるとともに、現在策定中の次期中期経営計画に基づき、GHG低減をはじめとする社会課題を事業機会としたポートフォリオ変革を推進することで、持続的な企業価値の向上をめざしていきます。 また、KAITEKI Vision 30の策定に際して想定した2050年のめざすべき社会とMCHCグループのありたい姿は、社会や政策が気候変動に前向きに進んだ将来像を想定しており、いわゆる2℃シナリオと視点が一致するものと認識しています。 今後、2℃シナリオ等の事業環境下において、事業ポートフォリオ変革を通じた持続的な成長が遂げられるよう検証を進めていく予定です。 |
戦略 c)様々な気候関連シナリオに基づく検討を踏まえ、組織の戦略のレジリエンスについて説明する |
指標と目標
リスクと機会を評価する指標と目標
2019年度の報告 | TCFD推奨される開示内容 |
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サステナビリティへの貢献度合いを評価する経営指標(MOS指標)の中に、温室効果ガス等の大気系環境負荷の削減(環境負荷原単位)と、GHG排出削減に貢献する製品・サービスの提供によるGHG削減貢献量を設定し、中期経営計画の目標年度2020年度の目標を掲げ、毎年進捗を評価しています。 また、今般策定したKAITEKI Vision 30において、2030年度を目標年度とする新たな中長期目標を策定しました。国内のGHG排出量を2013年度比26%削減することをめざし、具体的なアクションプランの策定を進めています。 |
指標と目標 a)組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスクおよび機会を評価する際に用いる指標 c)組織が気候関連リスクおよび機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績 |
統合報告書「KAITEKIレポート2020」に掲載の関連情報
Scope 1~3の温室効果ガス排出量
2019年度の報告 | TCFD推奨される開示内容 |
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2019年度の実績は、非財務ハイライトのGHG排出量を参照ください。なお、GHG排出量は第三者保証を受けており、信頼性の高い情報の開示に努めています。 |
指標と目標 b)Scope1、Scope2および当てはまる場合はScope3 の温室効果ガス(GHG)排出量と、その関連リスク |
統合報告書「KAITEKIレポート2020」に掲載の関連情報
役員報酬
2019年度の報告 | TCFD推奨される開示内容 |
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執行役および執行役員の報酬を構成する業績報酬に係る評価は、年度ごとの目標値の達成状況に基づき決定されます。経済性や資本効率に加え、サステナビリティの向上に係る指標等を用いて評価を決定しています。その指標には、省エネルギー活動の推進を通じた気候変動に関わる指標を盛り込んでいます。詳細は、有価証券報告書を参照ください。 |
指標と目標 a)組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスクおよび機会を評価する際に用いる指標 |
統合報告書「KAITEKIレポート2020」に掲載の関連情報