分野別事業概況:ヘルスケア分野

疾病治療にとどまらず、世界の人々が長く健康でいられる社会の実現に向けて、事業を発展させていきます。

主要事業・製品

ヘルスケア

2019年度
売上収益

4,131億円

2019年度
コア営業利益

146億円

非継続事業に係わる数値を控除しております

医薬品

免疫炎症

主力製品である「レミケード」(適応症:関節リウマチなどの炎症性自己免疫疾患)を通じて培った医療関係者との信頼関係をベースに、強い営業基盤を有している領域です。「レミケード」に加え、「シンポニー」(適応症:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎)、「ステラーラ」(適応症:クローン病、潰瘍性大腸炎など)の3製品それぞれのメリットを最大化し、バイオ3剤計でシェアNo.1を堅持していきます。

「レミケード」 「シンポ二ー」 「ステラーラ」

中枢神経

「ラジカット」(米国名:「ラジカヴァ」)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)において、上昇するフリーラジカルを消去して運動神経を酸化ストレスから保護し、筋力低下、筋萎縮の進行を遅らせる効果があると考えられています。2015年6月に日本で、続いて韓国、米国、カナダ、スイス、中国、インドネシアでALSの適応症について承認を取得しました。現在、経口剤の開発を進めています。

「レクサプロ」 「ラジカット」

糖尿病・腎

田辺三菱製薬が創製した日本オリジンの2型糖尿病治療剤の「テネリア」、「カナグル」、「カナリア」でエビデンス獲得と販路拡大をめざし、当領域におけるプレゼンスを確立していきます。

「テネリア」 「カナグル」 「カナリア」

ワクチン

一般財団法人阪大微生物病研究会とワクチン製造合弁会社であるBIKENを設立し、2017年9月に操業を開始しました。将来的には水痘ワクチンの生産量を2~3倍に、ワクチン全体を2~3割増産する予定です。供給拡大が求められるワクチンの生産基盤を強化し、ワクチンのさらなる安定供給に貢献していきます。

インフルエンザワクチン 「テトラビック」 水痘ワクチン

ライフサイエンス

次世代ヘルスケア

東北大学の出澤真理教授らのグループにより発見されたMuse※1細胞を製剤化したCL2020(開発コード)について、4つの疾患(急性心筋梗塞、脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷)を対象にした臨床試験を進めています。また、細胞加工施設「殿町CPC※2」では、2019年8月に再生医療等製品製造業許可を取得し、事業化に向けた準備を進めています。

  • 1 Muse:Multilineage-differentiating Stress Enduring
  • 2 CPC:Cell Processing Center

Muse細胞

創薬ソリューション

医薬原薬・医薬中間体の製造、世界で初めて実用化に成功した植物由来原料のHPMC※1カプセル※2など、高品質・高機能のハードカプセルやその製造技術のノウハウを活用した製剤関連機器を提供しています。

  • 1 HPMC:Hypromellose capsule
  • 2 カプセル事業は、2020年7月に三菱ケミカルの高機能化学部門に移管しました。
健康・医療ICT

超高齢社会を迎え、医療の地域格差などの社会課題に向けて、デジタル技術を活用して医師の負担を軽減する診断支援システムの開発など、医療の質の向上に貢献する新たなビジネスの創出をめざしています。現在は、「オープン・シェアード・ビジネス」というフレームワークも活用して人工知能(AI)を用いた画像診断支援システムの開発に取り組んでいます。

SWOT分析

S強み

医薬品
  • 医薬品事業における創薬力・育薬力
  • 免疫炎症領域をはじめとする重点領域でのプレゼンス
ライフサイエンス
  • シックケアからヘルスケア、ライフケアまでをカバーする広範囲な事業基盤
  • 再生医療等製品における高い開発力と技術力

W弱み

医薬品
  • グローバル展開(特に北米)の遅延
ライフサイエンス
  • 幅広い顧客ニーズに合った多様な製品・サービスの展開

O機会

医薬品
  • 医療ニーズの多様化
  • 免疫炎症領域をはじめとする重点領域でのプレゼンス
ライフサイエンス
  • 健康・医療ICTによるビッグデータ活用の潮流
  • 医療費増大抑制に応じた健康維持・重症化予防施策の奨励
  • セルフメディケーションなど、健康意識の高まり

T脅威

医薬品
  • 創薬成功確率の低下や承認審査の厳格化による研究開発費の増加
  • さまざまな医療費抑制策
ライフサイエンス
  • ヘルスケアビジネスにおける経済的インセンティブの欠如

APTSIS 20

方針
  • 医薬品事業のグローバルな成長
  • ICTを活用した健康医療事業、および再生医療事業の推進と確立
主要戦略
  • 米国を中心とした海外医薬品事業の展開促進
  • 創薬力強化
  • 育薬・営業強化による新薬・重点製品の最大化
  • ICTを活用した健康・医療ビジネスの拡大
  • 再生医療ビジネスの拡大
  • カプセル事業の収益向上とグローバル展開による事業拡大
目標数値:投資額(5カ年累計)4,600億円、R&D投資(5カ年累計)4,400億円。コア営業利益グラフ:2016年度実績984億円、2017年度実績812億円、2018年度実績569億円、2019年度※実績146億円、2020年度期初予想-10億円、中計目標660億円。※非継続事業に係わる数値を控除しております。

医薬品の成長戦略

田辺三菱製薬は、2020年を最終年度とする中期経営計画「Open Up the Future」の中で、目標達成のための4つの挑戦を掲げています。挑戦1のパイプライン価値最大化において、2019年度は、日本国内で腎性貧血治療薬「バダデュスタット(一般名)」の承認申請を実施するとともに、視神経脊髄炎関連疾患治療薬「イネビリズマブ(一般名)」の導入に関してライセンス契約を締結しました。

グローバルでは、季節性インフルエンザの予防をめざした植物由来VLP※1ワクチン(MT-2271)の第3相臨床試験の結果を踏まえ、米国での開発計画を変更しました。偽薬や対照薬(鶏卵ワクチン)との比較において一定の有効性を確認しており、植物由来VLPプラットフォーム技術のメリットを勘案し、現行の製剤よりもさらに有効性を向上させるべく、アジュバント※2を加えた季節性インフルエンザワクチン開発の検討を進めています。

  • 1 VLP:Virus Like Particle(ウイルス様粒子)
  • 2 医薬品の効果を高めたり補助したりする目的で併用される物質で、ワクチンとともに投与することで免疫原性を高めることが期待されます。
未来を切り拓く4つの挑戦
図:挑戦1「パイプライン価値最大化」後期開発品目標10品目創製、研究開発投資(5カ年累計)4,000億円、2019年度実績9品目の後期開発開始。挑戦2「育薬・営業強化」国内売上収益目標3,000億円、新薬および重点品売上比率75%、2019年度実績3,139億円、売上比率74.6%。挑戦3「米国事業展開」米国売上収益目標400億円+「ラジカヴァ」展開国拡大、戦略投資(2019-2023年度)3,000億円、2019年度実績231億円、展開国6カ国で承認取得。挑戦4「業務生産性改革」、売上原価・販管費削減目標300億円、従業員数5,000人体制、2019年度実績320億円削減、4,782人体制。2020年度目標:売上収益4,300億円、コア営業利益600億円。2020年度期初予想:売上収益3,835億円、コア営業利益100億円

ライフサイエンスの成長戦略

Muse細胞製品でアンメット・メディカル・ニーズの解消をめざす

生命科学インスティテュートは、世界に類のないヘルスケアソリューション企業をめざし、再生医療など製品であるMuse細胞製品(CL2020)の開発に取り組んでいます。

Muse細胞は、2010年に東北大学の出澤真理教授らのグループにより発見された、ヒトの多様な細胞に分化する能力を有する多能性幹細胞です。もともと生体内の結合組織内に存在する自然の幹細胞であることから腫瘍化の懸念が少ないことに加え、目的とする細胞に分化誘導する必要がなく、そのまま静脈内に投与するだけで傷害部位に遊走、集積し、生着して組織を修復するという特長を有しています。

現在、CL2020について4つの疾患(急性心筋梗塞、脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷)の臨床試験を進めており、このうち、急性心筋梗塞の探索的臨床試験と脳梗塞の臨床試験では、速報として期待通りの結果を得ることができました。

CL2020の製品化を望まれている多くの患者さんやそのご家族のご期待に応えられるよう、できるだけ早期の事業化をめざしています。

図:Muse細胞の静脈点滴投与→血管を通じて傷害を受けた脳細胞に遊走→傷害細胞からのシグナル(”SOS”シグナル)脳梗塞部位に集積し、自ら神経細胞や血管に分化▶︎傷害を受けた脳組織が修復され、機能を回復

Focus:医療とデジタル

MCHCグループは、化学、バイオテクノロジーとデジタル技術を活用することにより、独自のヘルスケアプラットフォームを構築し、AIの導入による業務の効率化と改善を進めています。

治療から予防・未病へのシフト

日本政府の医療政策の焦点は、治療から予防・未病へとシフトし、個人の健康管理に対する意識が高まっています。生活習慣病の一つである糖尿病においては、特に、医療費高騰につながる重症化の予防が課題です。

田辺三菱製薬が(株)ハビタスケアとともに開発した糖尿病ケアアプリ「TOMOCO」は、食事・運動・服薬・血糖値などの日常記録を促し、指導者が立てた行動計画に沿ったフォローアップを行うもので、医療機関での診療に加え、行動変容を促すことで、糖尿病重症化予防への取り組みを支援しています。

糖尿病ケアアプリ「TOMOCO」
写真:コンシェルジュキャラクターが登場するスマートフォン画面[POINT01]コンシェルジュが励ましたり、アドバイスをしながら糖尿病患者さんの生活習慣改善をサポートします。写真:折れ線グラフや棒グラフが表示されたスマートフォン画面[POINT02]食事、運動、体重、その他の糖尿病に関わるデータを登録可能。グラフで今までの記録が確認できます。写真:日ごとに数値が表で一覧化されたスマートフォン画面[POINT03]生活指導を実施する栄養士さんと情報を共有することで、より最適な診療をサポートします。

育薬・営業部門での業務効率化と業務向上の推進

臨床試験は新薬候補の有効性や安全性を検証することを目的にしており新薬開発の成否を左右する重要なプロセスです。そのため、臨床試験には精緻な実施計画の立案が求められ、多大な時間と熟練者の知識・経験MCHCグループは、化学、バイオテクノロジーとデジタル技術を活用することにより、独自のヘルスケアプラットフォームを構築し、AIの導入による業務の効率化と改善を進めています。をもとにしたノウハウが必要となります。田辺三菱製薬では(株)日立製作所と協業し、情報・データ収集を支援するAIと治験デザインを支援するAIを組み合わせ、熟練者のノウハウに依存していた従来の作業と比較し、情報収集の時間を約70%短縮できることを確認しています。引き続き、新薬開発の期間短縮と開発コスト削減、および成功確率向上をめざします。

図:医学論文・審査報告書・公開治験データ→AI「データ収集」臨床試験情報のデータベース化→AI「治験デザイン」治験計画書の作成支援・治験データの予測→(目的)→成功確率向上・治験期間短縮

営業部門では、医師訪問履歴や医師からの問い合わせ内容などの活動データを蓄積・解析し、営業活動の効率的なパターンを導きだし、医師に論文や関心があるコンテンツなどを自動的にメールで送信するシステムを構築するなど業務効率化を進めています。

環境・社会課題の解決新型コロナウイルス感染症の予防をめざしたVLPワクチンの開発へ

田辺三菱製薬の子会社であるMedicago Inc.は、新型コロナウイルス感染症に対する植物由来VLPワクチンの第1相臨床試験を、2020年7月に開始しました。皆さまに一日も早くお届けできるよう、開発を着実に推進し、 喫緊の社会課題である新型コロナウイルス感染症の感染予防に貢献していきます。

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