MENU

SOLUTION / VOL.05

先端技術の活用でスマートな工場を実現
-次世代ガス供給システム

INTRODUCTION

先端技術の活用でスマートな工場を実現
-次世代ガス供給システム

先端技術の活用でスマートな工場を実現
-次世代ガス供給システム

  • Dec 1, 2021

  • TEXT BY YUYA OYAMADA

  • ILLUSTRAIONS BY SHINJI HAMANA

  • Technology

  • Health

  • Event

今や私たちの暮らしに欠かせないものとなった半導体。その製造過程には特殊材料ガスなど、さまざまな種類の産業ガスが使用されています。しかし、従来の半導体工場では1本あたり100キロを超えるガス容器(ボンベ)の交換作業が日に何度も生じ、作業者の大きな負担となってきました。

また、半導体工場など高圧ガスを扱う現場では法定上、日常的な保守・点検が欠かせず、人手不足に悩む製造現場にとって膨大な手間と時間を要することも課題でした。

そこで三菱ケミカルホールディングス(MCHC)グループの大陽日酸では、次世代ガス供給システム「インテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)」を開発。ガス業界にデジタル革新を実現することで、ガス供給現場のスマートファクトリー化を支援するシステムを2020年7月から提供しています。

先端技術の活用でスマートな工場を実現
-次世代ガス供給システム

FEATURE

FEATURE

  • 01

    ガス供給現場の課題を解決

    半導体工場をはじめとする産業ガスの供給現場では、重労働、危険作業、人手不足といった課題が山積していました。そこで大陽日酸ではデジタル技術を活用した支援システムの構築に取り組みました。

  • 02

    6つの機能を統合したシステム開発

    ロボティクスやIT分野など外部のパートナー企業だけでなく、実際に産業ガスを使用するお客様の工場とも緊密に連携しながら新たなガス供給システムを開発。その結果、ガス容器のロボット搬送や日常点検システム、監視システムなどをタブレットに統合した「インテリジェント・ガス・サプライングシステム(IGSS)」により、ガス供給現場の大幅な負担軽減を実現しました。

  • 03

    ガス供給のビジネスモデル変革に期待

    IGSSはデジタル革新によってガス供給現場のスマートファクトリー化を推進するだけでなく、産業ガスにまつわる業務効率化支援を新たな事業として開拓したり、産業ガス以外の領域でも支援システムの新たな用途開拓を行ったりしていくことで、ビジネスモデルの変革をもたらすとも期待されています。

先端技術の活用でスマートな工場を実現
-次世代ガス供給システム

DETAIL

DETAIL

同社がIGSSの開発に着手したのは2017年。デジタル技術を活用した製造業の省力化・省人化をめざす第4次産業革命の波を受けた「スマートファクトリー」という概念に、日本でも注目が集まりつつあった時期でした。

スマートファクトリーとは、AIやIoTといった最新テクノロジーを製造現場のあらゆるところに取り入れることで、業務プロセスの改革や品質・生産性の向上を継続的に実現する工場と定義されています。

では、このスマートファクトリー化が、IGSS開発の契機となった半導体工場にどうして必要とされているのか?背景には、ガス供給現場における多くの課題があります。

実は、半導体工場は製造にまつわるほとんどの作業が自動化・無人化されており、その意味ではスマートファクトリー化はすでに進行していました。しかし、ボンベの交換や保守、点検といったハンドリング業務は人の手によって行わなければならないといった実情がありました。加えて、こうした製造現場には人材不足という問題もあります。

長年、産業ガスの供給メーカーとして、半導体をはじめとするエレクトロニクス関連の工場とパートナー関係を築いてきた大陽日酸は、顧客が抱えるこうした課題の解決に対して、スマートファクトリー化というデジタル革新によって応えようとしたのです。

コンセプトは、「KAITEKIなガス設備を提供することで、お客様の業務をよりKAITEKIにする」。ロボットやAI、センサー、クラウドサービスなど最新技術を駆使することで、ガス供給にまつわるあらゆる業務をオートメーション化することを開発目標として掲げました。

同時に、このプロジェクトではデジタル技術の急速な進歩に合わせたスピード感のある取り組みも求められました。大陽日酸の担当者たちはガスの取り扱いに関してはプロフェッショナルであるものの、IoTやAIといったテクノロジーに関する知見は、ほぼゼロ。そこで同社では、専門技術を有する企業とのオープンイノベーションを推進するとともに、短い期間で試作と検証を繰り返しながらプロジェクトを進める「アジャイル開発」の手法を採用します。

当初から要件定義を明確にし、完成に向かうプロセスをひとつひとつ進めていく従来型の開発手法と違い、アジャイル開発は“作りながら完成形を模索する手法”といえます。計画から設計、実装、検証に至るサイクルを短期間で繰り返し、試作品をいくつも作りながら必要な機能などを定めていくもので、短期間で製品の質を向上させることができるとされています。

ただ、試作と検証の精度を上げるためには、最終的に製品を使用するお客様と常に連携しながらプロジェクトに取り組まなければなりません。そのコミュニケーションが緊密でなければ、ムダに試作を繰り返すことになり、コストと時間のロスが増え、アジャイル開発のメリットを活かすことができないためです。

その点、長年にわたってお客様の工場の隣に事務所(ガスセンター)を構え、ガス供給にまつわる周辺業務も担ってきた大陽日酸は、アジャイル開発の特徴を最大限に発揮することができました。これまで培ってきたお客様との信頼関係をベースに、開発の現状や課題をタイムリーに報告・共有することで、共にプロジェクトに取り組む“パートナー”として、最終的なユーザーの声を反映した細かな調整や改善を行っていくことができたのです。

こうして完成したIGSSは、次の6つの機能がラインナップされました。

IGSS #01 シーアイズ ceyes
IGSS #02 ルームシステム LUMsystem
IGSS #03 ユーナックスツー タブ UnaxsⅡ tab
IGSS #03 ユーナックスツー タブ UnaxsⅡ tab
IGSS #03 ユーナックスツー タブ UnaxsⅡ tab
IGSS #03 ユーナックスツー タブ UnaxsⅡ tab

それぞれ高度なテクノロジーが凝縮され、 ガス供給現場における課題をデジタル技術で解決する支援システムとなっています。また、これら6つのサービスは顧客の状況に合わせて個別に導入することも可能です。

また、IGSSはガス供給にまつわるビジネスモデルの変革にも寄与すると期待されています。近年、IoTの発展により製造業のサービス業化が進んでいるように、IGSSが普及すれば、ガスを提供するだけでなく、ガスにまつわるさまざまな業務の効率化支援も新たな事業として成立させることができるからです。
そして、日常点検の省力化システムなどの機能は、ガス供給ビジネスだけでなく、幅広い分野にも応用可能なテクノロジーでもあります。特にMCHCグループには多様な事業群があることから、大陽日酸では広く活用のアイデアを募っていきたいといいます。

しかし、IGSSはこれで“完成”したわけではありません。自動運転のクルマが技術の進歩に合わせて、自動化のレベルを徐々に上げていくように、IGSSの自動化もあくまで現時点でのもの。IGSSは常に最新技術を取り入れ、ガス供給における自動化レベルの向上と、理想的なスマートファクトリーの実現に向けたアップデートを継続して行っていきます。

従来、人が介在する作業の多かったガス業界から始まったデジタル革新。それが近い将来、スマートファクトリーという未来の工場を実現させるかもしれない。IGSSは、そんな夢に向けた第一歩なのです。

大陽日酸の次世代ガス供給支援システム IGSSのサイト
https://www.tn-denzaiequipment.jp/products/monitoring/igss.html

TOP PAGE

RECOMMEND

こちらもおすすめ

SOLUTIONSep 21, 2021

「軽くて丈夫な素材」が環境に優しい未来をつくる -炭素繊維複合材料

SOLUTIONJun 7, 2021

プレシジョンメディシン―病と向き合うすべての人に希望ある選択肢を

SOLUTIONMar 31, 2021

バイオプラスチック―資源循環に貢献